自立するということ

知り合いの男の子がいる。今、高校3年生。

私は彼が小学2年生の時からの付き合いだ。

 

彼は肢体が不自由で、車椅子をこいで移動している。

今はある施設に居住しているが、

そこから通学バスで学校まで約1時間かけて通学しているのだ。

 

ところが先日彼と会った時に、驚くようなことを言われた。

「ぼくは、これから学校まで自分ひとりで車イスをこいで通学することにした。」

(続きはブログで)

 

学校までの道のりは想像以上に遠い。

彼は、まず15分ほどアップダウンのある道を車イスで移動し、近くのバス停まで行く。

そしてバスの運転手さんに協力してもらってバスに乗り、最寄の駅まで行く。

 

その後電車に乗り、学校の近くの駅から、今度は30分かけて車イスをこぎ続けるのだそうだ。

 

登下校にかかる時間は、片道2時間。

それを雨の日もカッパを被って一人で登下校することに決めたのだった。

 

もちろん無謀な試みではない。

まず施設の職員さんに自分の考えを伝え、すでに4回ほど実際に学校まで行ったのだという。

 

車イスの通りやすい道ばかりではない。

階段があってはどうしようもない。

 

そういう困難を職員さんと一緒に試しに登下校してみることで確かめながら、

安全で移動しやすい道を確認し、そのコースを基にして、施設の職員の会議にきちんと議案としてあげてもらい、認めてもらったのだという。

 

私は感激した。

 

これこそ自立の第一歩ではないだろうか。

いや、自分の人生を自分で切り開く覚悟の行動だろう、それならば決して他人事ではない。

私も覚悟を決めなければ、と言葉にしない思いを胸に抱いて

次、彼と会える日までしばしのお別れをしたのだった