映画「夜明けのすべて」を見た

「夜明け前が一番暗い」というイギリスのことわざがあるらしい。この映画を見て初めて知った。

確かにすべての色は黒から生まれてくる。そういう意味では、朝が生まれ、この世界が目の前に立ち上がってくる夜明け前は、すべての可能性を含んだ暗闇が横たわるのだろう。

 

しかしその夜明けの前の漆黒の暗闇の中でも、星の光は私たちを導いてくれる。その光を頼りに人は方向を知り、自分がどこへ向かっているのかを確かめることができる。

 

この映画は二人の主人公が出会うところから始める。

一人はPMS(月経前症候群)で生理の期間の前にイライラ、不安感、抑うつ気分などの心理的な症状と、おなかの張り、頭痛、乳房の痛みや張り、足のむくみなどの身体的な症状に苦しむ女性。

 

もう一人はパニック障害で身体疾患がないにも関わらず、突然の動悸や呼吸困難、めまいといった発作(パニック発作)を繰り返し、発作への不安から外出の時に電車やバスなどの乗り物への乗車が困難になったり、美容室や歯科医院など、簡単に逃げ場が見いだせない閉鎖的な空間で発作が発症する男性。

 

 

この二人がふとした事から出会い、最初はすれ違うが次第にお互いを理解し、さりげなく支え合っていく。私はその距離感と互いを尊重するまなざしが、うれしかった。

 

映画はこの二人の日常を、淡々と、そして見守るよう暖かく描いてくれます。その温かさは、二人を取り巻く町工場のさりげなく、そして暖かい目線で寄り添ってくれる同僚の存在が醸し出してくれています。

 

あらすじはネタバレになるので書けませんが、一言でいうと「見てよかった」。

もし興味があれば、あなたも、ぜひ。