「龍の住む」世界の私

*写真はAmazonより
*写真はAmazonより

今年は「辰年」だから、龍についていろいろまとめた本を紹介します。

以前龍のシンボリズムについて色々と調べていた時に、大変お世話になった本「龍の住む日本」(著:黒田日出男 岩波新書 831)です。

 

龍というのは古来から日本だけでなく中国などでも非常にシンボリックな存在であるとともに、東洋だけでなく西洋などでもドラゴンという亜種(?)の存在に繋がっていますね。そして現在でもドラゴンボールやポケットモンスターの中にも仲間が多くみられ、時代を超えて広く人々の想像力を刺激する存在なのです。

 

と同時に、私の関わっているイメージセラピーやアートセラピー、夢分析などでは龍の登場する場面も買たrされることがありますが、それはその個人の生き方の大きな転換点でもあることが多々見受けられます。そのぐらい龍というのは、私たちの生きている日常の基盤を支える、あるいは破壊する存在なのです。

 

 

この本の中では、龍の存在について様々な文化と歴史の観点から語られています。例えば次の図をご覧ください。


これは「大日本国地震図」と言われる1624年の図ですが、これ以前にも日本の国土全体が龍で表されている図が存在するということです。つまり日本では「国土」そのものが龍に囲まれており、今でなら「ナマズ」が起こすと言われている地震は、歴史的には「龍」が関わっていたと言われているとのことです

 

*(先日起きた令和6年能登半島地震で被害を受けたり、犠牲になられた方々に心からお見舞い申し上げます。神戸でも平成17年に阪神・淡路大震災が起き、私も被災した経験があるので、メディアから流れてくる情報や映像にくぎ付けになりました。神戸の経験が復興に生かされることを心から願っています。)

 

と同時に、例えば鎌倉時代に起きた元寇(蒙古襲来)の時や様々な天変地異の時には、龍が姿を見せ日本の国土を守るために戦ってくれたという言い伝えも残っているということです(同書 P.98)

 

良くも悪くも龍は私たちの生きる日常と関わる神の化現した存在であり、それだけに夢やイメージで現れた龍が破壊の悪龍なのか、守護神の龍神なのか、はたまた夢やイメージの中で私たち自身がその龍をコントロールできているのか、振り回されているのか、などが大きな着目点になります。


もう一つの観点は、国土の守り神としての龍がその世界を統治するという観点から、中国では皇帝のシンボルとなり、私たち人間にとっては「自分の世界を統治する」シンボルともなることです。そのシンボリズムは時代を超えて文化を超えて現代でも連綿と生きています。それを身近に感じさせてくれたのが、皆さんもご存じのジブリの映画「ゲド戦記」の冒頭のシーンです。

 

冒頭では、2匹の龍が争います。その龍は物語の意味からいうと「生命力の衰えつつある国王」の龍と「若くして国王を打ち倒し自分の世界を立ち上げる王子」の龍の戦いなのでしょう。日本でも「登り龍のごとく」とその世界を花開かせる比喩がありますが、龍は私たち一人一人の世界を立ち上げ栄えさせる守護神の化身でもあると言えるでしょう。ジブリの映画はどれをとっても自立のテーマがうかがえ、それは宮崎駿さんが先輩の高畑勲さんからの自立を描いているのだということを先日のNHKの番組で知り、納得がいきました。

まさしく宮崎さん自身が「君たちはどう生きるか」と自分自身に問いかけていたのですね。


さてさて、新しい年を迎え初夢などで龍の夢をご覧になられた方、自分の人生を振り返り、そして「君たちはどう生きるか」という課題を考える手がかりとされてはいかがでしょうか?

 

新年を迎えるに当たって、龍のシンボリズムについて、ごくごく簡単ですが、まとめてみました。龍のシンボリズムについてはもっともっと深い意味もあるのですが、興味があれば上記の本だけでなく様々な本などを参考にして調べてみてはいかがでしょうか。