ふつうっていったいどんなこと?

 

 

 

 

 

タイトルは「ふつうに学校に行く ふつうの日」“ふつうに学校にいく普通の日 / ふつうの男の子はふつうの夢からさめて / ふつうのベッドからでて / ふつうのおしっこをして / ふつうに顔をあらって、ふつうの服をきて / ふつうの朝ごはんをたべました”そしてふつうの男の子はごくふつうにふつうの学校にでかけたのでした。

さてここまでは何ということもないふつうのお話ですが、ところで一体「ふつう」ってどんなことなのでしょうね?

男の子が授業のベルで教室に入って椅子に座っているとそこに「ぜんぜんふつうじゃない」新しい先生が入ってきたのです。新しい先生の名前はミスター・ギー。ギー先生は見た目はごくふつうなのですが、みんなに紙を配りこう言いました。“まずさいしょの授業として、諸君に音楽を来てほしい。その音楽に合わせて、頭の中に絵を思い浮べてほしい。わかったかな?”

そんな授業を受けたことのない子どもたちはビックリ!“頭おかしいよ、あの先生」「いかれてるよ!」”と「ふつう」の反応をしたのですが、次第次第にギー先生の魅力に引き込まれます。なんとギー先生はいきなり子どもたちに目をつぶらせ、頭の中に浮かんできたイメージを自由に言葉で語らせたのです。するとビックリしたことに、男の子の頭の中ではワクワクするような物語がどんどんと広がっていくではありませんか!

う~ん、分かるような気がしますね。音楽を聞いて頭に浮かぶイメージを自由に物語につなげていく・・・・。実はこの体験、私は本当に高校の音楽の授業で実際に体験したことがあるのです。音楽の女の先生が、クラシックの激しい音楽を教室に流して、「何でもいいから頭に浮かぶ言葉やイメージを自由に書いて下さい」と言われました。そんな授業は初めてだったのでビックリしましたが、私はその時、とってもうれしくなって音楽に耳をかたむけながら頭に浮かぶイメージを脈絡なく、すべて言葉で物語につなげていきました。どんどん広がって、とどまることなく、絵本の中の男の子と同じように!!

面白かったですよ~、あんな自由な体験は初めてでした。絵本の中の男の子もすっかり自分の頭の中のイメージに夢中になり、お話を広げていきすっかり夢中に!!
おもしろいなぁ、結局「ふつう」の反対は「面白いこと」なのかも。だとしたら「ふつう」って、なんて面白くないんだろう!

 

(「ふつうに学校に行くふつうの日 コリンマクノートン:文 きたむらさとし:絵 柴田元幸:訳 小峰書店 2005 )

*写真はAmazonより