「あさになったので まどをあけますよ」

今日紹介したい本は『あさになったので まどをあけますよ』

荒井良二さんの作品です。

 

 

“あさになったので、まどをあけますよ”

 

“やまは やっぱり そこにいて 

     きは やっぱり ここにいる 

        だから ぼくは ここがすき”

 

こういう文章がとてもなつかしい風景とともに描かれています。

 

    *荒井良二 文・絵 偕成社 (写真はAmazonより) 

 

 

昔、私の知り合いが、突然命を失いました。私は、その後数年間、彼の命日にご自宅へうかがわせて頂き、ご両親とお話をさせていただきました。

 

ご両親は当然ですが、非常に落胆されていて、そんな時に私がお邪魔をすること自体、ひょっとしてご迷惑なのではないだろうか、と思いながらも、数年間通わせていただきました。

 

すると数年後、お母様が私に一枚の写真を見せてくださいました。

近くの山に登ったときの写真です、といいながら見せてくださった写真は、山の頂きから朝日が輝きはじめる写真でした。

まだモノクロの写真でしたが、私にはお母様の時間が少しずつ動き始めた印象を受け感激した覚えがあります。

 

 

もちろん、息子を失った悲しみは、写真のようにきれいに移り変わるものではないでしょう。

何度も希望と悲しみの間を行きつ戻りつしながら、今も過ごされていることと思います。

 

“あさになったので まどをあける”までに、どの位の長い真っ暗な夜が続いていたのでしょう。

 

それでも私は「朝の来ない夜はない」という言葉を信じたいと思います。

 

 

読んでくださって ありがとう