「閉じた闇の世界」を描く映画2本

しばらくぶりのブログの更新です。だいぶご無沙汰しましたが、最近とても興味深い映画を続けて観たのでその報告を。

 

その映画はご存じ、ジブリの「君たちはどう生きるか」とワンシーン・ワンカットを驚異的に積み重ねたストップモーション・アニメの長編「オオカミの家」の2本。

いや~どちらも面白いというか、非常に興味深い作品でした。

 

ジブリの「君たちは・・・」については色々なところで色々な人が色々なことを解釈されていますが、私も私なりに解釈しています。それをここで披露するつもりはないのですが、私のようにユング心理学をベースに持つ者にとって、とてもシンボリックで、かつとても普遍的な世界を描いていることに感心しました。

 

宮崎監督がユング心理学をご存じかどうかは知りませんが、まさしく主にノイマンのいう「集団的な無意識から個人としての自我の産出」の過程そのまま、「死と再生」「英雄誕生」の物語であるように感じられましたね。昨今のロシアとウクライナの世界情勢やトランプを持ち上げるアメリカの陰謀論の広がりなどと重ねるとよくわかります。まさしく、そういう集団的な世界の中で個人としての「君」は「どう生きるのか」を問われている気がします。

普段映画は何度も見ないのですが、これだけは2回見に行きました。面白かった~~。

そして最近見たのが「オオカミの家」。

これは冒頭にも書いたワンシーン・ワンカットを驚異的に積み重ねたストップモーション・アニメだということで興味をもって観に行ったのですが、ところがどっこい、描かれている内容は1961年から2005年までチリに実在したカルト教団コミューンの「コロニア・ディグニダ」に取り込まれていた女性の苦しみを題材にしています。

 

「コロニア・ディグニダ」は最初は西ドイツで生まれた団体だったのらしいですが、チリに移り、そこでは「強制労働や身体的暴力、性的虐待、薬物や電気ショックによる洗脳、武器の密輸などの数々の陰惨な犯罪が行われた」(「オオカミの家」パンフレットより引用)

とのこと。日本では「オウム真理教」や最近では「旧・統一教会」、さらに少し広げれば最近話題の「ジャニーズ」の事件などにも共通する「集団洗脳・集団内での犯罪」なのかもしれません。(なおパンフによると、詳しく知りたい人は「Netflixではドキュメンタリーシリーズ『コノニア・ディグニダ:チリ人隠された洗脳と拷問の楽園』が配信中」とあります)

 

観ていて、次第にこちらの胸が締め付けられるような、身が焼かれるような苦しみが伝わってきました。

興味があればぜひ一度見に行ってください。

 

 

 

集団の中に埋没している個が如何に「個人」として生き直すことが出来るか?

これは他人事ではないですね、私自身も組織や世間や空気に埋没している自分に気が付くことがあります。

この2本の映画を見て、

さて「君たちはどう生きるか」?

そして「私はどう生きるか」?

 

 

考えさせられる2本でした。