上機嫌療法と気分一致効果 ~2~

「私の経験から言うと、物事は楽しもうと思えば、どんな時でも楽しめるものよ。
                      もちろん、楽しもうと固く決心することが大事よ」

 

これは赤毛のアンの言葉。

 

なるほど、超ポジティブ少女のアンらしい言葉です。

「そんなにうまくいくかよ、それができればこんなに苦しむことはない・・」と言いたくなるお方もいらっしゃるでしょうが、ある意味ではアンの言うことも事実なのです。もちろん「固く決心する」気持ちにならないと無理ですが。

 

さて前回哲学者アランの「上機嫌療法」のことや心理学の気分一致効果について簡単に触れましたが、なるほどそういうものか、とわかった気になっても実際にそれをマスターするのはなかなか練習がいります。アンの言うように「固く決心することが必要」なのですね。

 

といってもあまり堅苦しく考えるとそれだけで不機嫌になってしまうので逆効果。

とりあえずどんなことを考えればよいか、私の実践していることをいくつか紹介してみます。

 

1)不機嫌な状況から距離を置く

  これは以前私がこのサイトのコラムの中で「迷惑な人から身を守るには」というタイトルでまと   

  めましたが、やはりできるだけ嫌な状況や人から適当な距離を置くこと。

  例えば、職場で嫌な状況になった時には、自然に席を外してトイレへ行く、それもできれば少し 

  離れたトイレへ行き、気持ちを落ち着かせるなんてことも必要でしょうね。

 

                                                  *写真はNETFRIXから

2)二つめは、できるだけ自分が気分を上げられる活動やフレーズやイメージを事前に用意しておく、という事。

  これは、早い話が人間は同時に二つのことは考えられないので、嫌なことを考えている時に意識的に別のことを考えて頭の中から嫌

  なこと追い出そうというスキルです。これはかなり意識的に取り組むことが必要になりますが、例えば自分の趣味であるとか、今夢

  中になっていることへ意識を向ける努力をするということです。そうは言っても嫌な出来事は気が付いたらすぐに頭の中に浮かんで

  くるのですが、そのたびに自分の注意を切り替えていく努力をしましょう。

 

  そう簡単にはいきませんが、これはある意味、スポーツ技術と同じで、練習を積み重ねることでできるようになってきます。アンが  

  「もちろん、楽しもうと固く決心することが大事よ」といったのは「気持ちを切り替えるのも自己コントロールの技術の一つよ」と

  いう意味でしょうね。

 

他にもいくつか考えられますが、これらの気分の切り替え方を上手にまとめた取り組みが「WRAP(ラップ)」という方法です。

「WRAP」とは「Wellfare Recovery  Action  Plan 」の頭文字で日本語にすれば「元気回復行動プラン」とでもいうものです。 

次回はこの「WRAP」について簡単に説明しましょう。