「つかず はなれず さりげない」関わり

「つかず 離れず さりげなく」このフレーズはずっと以前から私の中では大切にしているフレーズの一つです。今回はそのフレーズについてちょっと考えてみます。

 

小さな子どもを見ていると、何で素直にあれほど感情が出せるのだろうと、ちょっとうらやましくなる時があります。自分の思うように物事が進まなかったら、ワ~ンと大声で泣き叫んだり、時にはものすごく素直にこちらの気を引こうとして甘えてきたり。

 

大人になるとそういうことはなかなかストレートには出せなくなるものです。出すことがどう見られているのか恥ずかしく思えるようになったり、逆にそう言うことをしても「あまり効果ないな」と先読みをして諦めてしまったり。

 

ただ恋愛中の時やお酒に酔っぱらったりするときは、そのブレーキがゆるんで時には子供っぽいしぐさや可愛らしいしぐさを出せるようになることもありますね。でもそうでない普段から小さな子どもとは言えない年齢、例えば思春期や青年期の年齢の人が人間関係であまりにも派手な行動で周囲の注目を引こうとしたりすると、やはりちょっと目につくものです。

 

私もときどき「え!?」と思うような派手な行動や挑発行為を見せたり、周囲を振り回すような人と出会います。そういう人と出会うと、なぜかこちらの気持ちが揺さぶられてしまって(ご当人は周囲に揺さぶりをかけているのですから当然ですが)、「何とかしてあげなければ」とか「私のせいでこんなにつらい思いをさせたのだろうか」とか時には「彼(彼女)にそんなにつらい思いをさせている関係者はなんてひどい連中なのだろう」と自分のことでもないのにむしょうに怒りが湧いてきたりします。

 

実はこういう時は、明らかに相手の人に巻き込まれて振り回されてしまっている状態なのです。こういう時に大切なことこそ「付かず、離れず さりげない」関わり方です。同情にしても恐怖にしても怒りにしても、その方と関わることで妙に自分が感情的になっていることを感じた時は、距離が近すぎる証拠です。

 

相手の方は周囲に抱っこしてもらうことで子どもっぽい愛情を満たしてもらおうと思っているのですが、先にも書いた通り、現実の子どもならばわからないことはなくても思春期や青年期の人がそのような子どもっぽい言動をしてくるのは、やはり彼・彼女の心の中に「満たされなさ」があって現実感覚バランスを見失っている時なのです。

 

ですから関わりを持つためには、距離を詰めすぎず、「つかず離れず」のほど良い距離感を保って、たとえ声を変えるにしても「さりげない一言」をあっさりとかけてあげてる程度に留めておきましょう。下手に情けをかけ過ぎて、気が付いたら抱き付かれてしまうと、次第に「おんぶお化け」のように重さに耐えきれなくなって困らされることが多いものです。そうなってから逃げ出そうとすると、必ず逆臨に触れてひどい言葉や態度を浴びせられる羽目になりかねません。

 

もし身近にそういうタイプの方がいらっしゃれば、「つかず 離れず さりげなく」覚えておいて、損はないフレーズだと思いますよ。ちなみにこのフレーズは、もともとは予備校が受験で過敏になっている受験生に親がどう関われば良いか、という質問の答えとして出していたフレーズでした。そう言われれば思春期の多感で敏感な時期の子どもに対しての心構えのフレーズでもありますね。覚えていて損はないですよ、お母さん。