キレル姿に切なさを感じてしまう・・・・実録コミックエッセイ「キレる私をやめたい」

今日紹介したい本はこれです

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 この本は著者の田房永子さんの実際の体験をコミック・エッセイとして描かれたものです。最初のコマには「自分で言うのもナンですが、私は普段はとっても温和な女なんですよ」と自己紹介されています。「腰は低いし、人に起こったりシマセン、遅刻されても平気だし、波風立てないのが一番!」と言う様子を見ると本当に温和な方だと思うのですが、ところが何かのキッカケで一度スイッチが入ってしまうと、別人かと思うほど大暴れに暴れてしまうのだそうです。

 

「ずっとずっとこの自分のキレる癖がイヤだった。こんな風に34歳までキレていたわたしですが、35際の今、ぜんぜんキレなくなったんです。キレていた頃のこと、キレなくなったきっかけ、そしてその後のこと、描いていきたいと思います」とストーリーが展開していきます。

 

この「キレる」人はいわゆる不良タイプの方に多いかもしれませんが、田房さんのように普段は温和で大人思想は普通の方なのに爆発すると止まらなくなると言う方もいらっしゃいます。発達障害系の方の「パニック」にも似ていますが、やはり私の感想としては「愛着」に何らかの問題を抱えている方にも多いように感じます。ここらあたりの見立てを間違うと、対応がずれてしまいますね。

 

田房さんの場合も、本を読む限りではやはり母親との関係に端を発しているような印象でした。そしてキレてしまった後、猛烈な自己嫌悪に襲われて苦しんでしまうのです。「いけないこと」だと十分にわかっていても自分が止められない。そしてそう言う自分を責めて、何とかしたいと思いながらも、気がついてらまた暴れている・・・・そういう点では虐待の心理に通じるところがありますね。

 

行動だけ見ていると、何てひどい、と思ってしまいますが、その姿や表情をよく見ていると私には「愛に渇き飢える姿」=「渇愛」と言う言葉が頭に思い浮かんできます。切なさを感じずにはいられません。

 

田房さんはその苦しみをゲシュタルトセラピーに出会うことで乗り越えることができました。その具体的な考え方や方法も紹介されています。もちろんすべての人に効果のある万能の対応などはありません。ある方にはゲシュタルトセラピーが相性が良く、ある方には認知行動療法が、またある方には箱庭や夢分析などのイメージ療法が効果がある場合もあります。

 

もしあなたが同じようにキレてしまうことで苦しんでいて、「何とかしたい」と思われているのなら、勇気を出してカウンセリングに取り組まれることをお薦めします。

 

興味があれば一度この本を手に取って見て下さい