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いつも気分が晴れない「重篤気分調節症」

抑うつ障害群と呼ばれる一群があります。これらの障害は、前回までに取り上げた「双極性障害」とは区別されて、「悲しく、虚ろな、易怒的な気分があり、身体的及び認知的な変化も伴って日常生活に大きな影響を及ぼす状態」です。

具体的には、アメリカ精神医学会による「精神疾患の診断統計マニュアル第5版(以下DSM-5)」では、①重篤気分調節症 ②うつ病 ③持続性抑うつ障害 その他に分かれています。
きょうはまずその中で「重篤気分調節症」について取り上げます。

これは持続的な易怒性および、または度重なる極端な行動制御不能のエピソードがある子どもに対する診断名です。要するに学校などで見られる「すぐにキレて暴れ出したら手が付けられなくなる」ような状態です。これらのかんしゃくが、大体平均して週に3日以上、一年以上に渡って、学校や家庭などの複数の場面で起きると言うことが求められています。

簡単に診断基準を抜粋すると
A.言語的(例:激しい暴言)および・または行動(例:人や物に対する攻撃)に表出される激しい繰り返しのかんしゃく発作があり、状況やきっかけに比べて、強さまたは持続時間が著しく逸脱している。
B.かんしゃく発作は発達の水準にそぐわない
C.かんしゃく発作は、平均して週に3回以上起こる
D.かんしゃく発作の間欠期の気分は、ほとんど1日中、ほとんど毎日に渡る、持続的な易怒性、または怒りであり、それは他者から観察可能である。
E.A~Dは少なくとも12か月以上持続している。3か月以上症状が見られないことはない。
F.基準AとDは少なくとも3つの場面(すなわち、家庭、学校、友人関係)のうち2つ以上で存在し、少なくとも一つの場面で顕著である。
などなどです。



ただし単にすぐキレて暴れ出すのなら他の障害(素行症や反抗挑戦症など)でも見られますが、この重篤気分調節症の場合は、暴れていない時でもなんとなくもやもやして怒りっぽい気分が持続している、という点でしょう。つまり全体的に「抑うつ」気分が背景にあるということです。

この障害が「抑うつ障害群」の中に位置づけられたのも、子どもの場合の「うつ」は「怒り」や「いらいら」した気分として表現されやすいという点がります。大人の場合の「抑うつ」のイメージとは異なる場合があることを知っておく方が良いでしょうね。