前回、双極性障害の躁鬱エピソードについて簡単にまとめました。しかしああいう診断基準というものは一般化するために味もそっけもない書き方をしています。やはり実際の様子を知りたいと思う方のために、実際の様子を書かれた本を紹介します。
それがこれ。
ご存知の方はご存知の(当たり前!)の、作家で精神科医の“どくとるマンボウ”こと北杜夫さん。北さんは躁うつ病であることを公言して、いろいろなところでご自分について自慢(?)されています。その中でも今回は娘さんの斎藤由香さんと父である北さんが対談して北さんの「躁うつ病」の様子について語り合っています。
ひょうひょうとした雰囲気が持ち味の北さんですが、娘さんの由香さんはそれに輪をかけてサラッとされた受け答えをされています。躁病エピソードも、半ば面白おかしく触れられています。たとえば
“とにかく躁病の時は株の売買をするので、朝の5時から起きているんだよね。うつ病の時は夕方まで寝ているのに”
“でも株をやる以外は、映画を見たりとか、浪花節を唸ったりとか、中国語を勉強したりして、家の中はすごく明るくて、楽しくて、笑いに満ちているわけ。あと急に「マンボウマゼブ共和国を作ります」といってお札を作ったり、タバコを作ったり。”
由香さんの話を聞いて北さんも
“そう。『由香、聞きなさい。パパはもう日本国から独立して《マンボウマブゼ共和国》を作るから』といって『国家を作ったから、今から国家を斉唱します』と夕食中に歌を歌ったりとか。3回やったよ。”
すると由香さんが
“・・・それで、なぜか躁病になると、赤ちゃん言葉になるでしょう。『なんとかでちゅ』とか。『今度、どくとるマンボウの文華の日をしまちゅ。来てくれない?まりちゃん』とか言って加賀まりこさんに電話してたりとか、星新一に電話したりするのを聞いている”
などなど。
長くなるので、続きは次回にしますが、何とも躁病のエネルギーというのは驚くべきものですね。
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