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不登校を考えるシリーズ -1-

このコラムでは、児童期・思春期の子どものこころの問題について、簡単に触れていきたいと思います。
私は医者ではありませんので、診断についての権限はありませんが、これまで接してきた子どもたちの様子とともに、今お悩みのご本人やご父兄に何かのヒントになれば幸いです。

まず最初は、不登校を巡るこころの問題への対応について。
不登校と言う名称は、「学校に行くことができない状態」あるいは広くとらえても「学校へ行けても通常の授業や集団に入れない状態」ととらえることができます。

ただ、これはあくまでも状態をとらえた名称であって、一つの疾患の単位でないことは言うまでもありません。ですから「不登校」と言う状態を引き起こしている背景にあるこころの問題はそれぞれ個別に見ていかなければならないのです。

そういう意味で「不登校」一般に対する対応と言うのはありえないのですが、経験的にいえることはいくつかあるような気がしています。

まず一つは不登校と言われる子どもたちを見回した時に、大きく分けて比較的社会適応の良好な子どもたちと、こころの問題が深く、社会適応に問題の多い子どもたちがいることでしょう。例えば学校にはいけないけれどそれ以外の買い物などの外出ができる子どもたちと、長期にわたって自分の部屋に閉じこもりを見せる子どもたちなどの違いです。

また学校生活以外は外出ができるといっても、学校のある時間帯にでも普通に外出できる場合と、学校の授業時間帯は外出できずに、放課後の時間帯等になると安心できるという場合があります。

前者の場合は、どちらかと言うと学校自体にそれほど葛藤やこだわりがない場合でしょう。たとえば学校や友人よりも何か別のことに興味や関心がある場合、あるいはそもそも登校できないのではなく、別の理由から(たとえばゲームをしたいから)登校したくない場合などです。

後者はやはり学校に「行きたいのだけれどいけない」あるいは「行かねばならないと思ってはいるんだけれど、どうしてもいけない」と言う場合です。こういう場合は子どもの心の中に葛藤がある場合ですね。

さらに学校に行けないということだけでなく、社会生活全般に不適応を見せる場合はやはり医療との連携は必要でしょう。場合によっては服薬が必要な子どももいることでしょう。

まずはそういう問題の概要や根の深さ(病理水準)を見定めて対応に当たることは欠かせないと思います。もし問題の概要がつかみかねる時は、お近くの専門家の方に相談して下さい。

その上でいくつかの対応についてこれから取り上げていきたいと思います。