イメージを使う (行動・からだ・イメージ・ことば ⑤)

さて、前回までは行動にあふれ出る未分化なエネルギーをからだという容器の中に何とか収めることで、身体症状として外在化して表現できること、そしてその結果、周囲に対するアピールや表現された内容を理解・共有してもらうことができ始める、と言うようなことを書いてきました。


しかし問題もあるのです。


例えば確かに心の悩みを外在化して表現することはできても、それが日常生活の中で支障をきたす原因になったり(腹痛で学校に行けないなど)、その表現で周囲の注目を集めること自体が目的となってしまう(ある種の注目集めの身体化症状など)ことや、場合によっては無意識的ではあっても疾病利得という目的のために使われるようになったりもします。


そこでできれば身体化症状の意味を読みとって、もう少し具体的な形で向き合うことが必要となってきます。これは身体化症状を何らかのイメージで表してもらうことでもあります。

そのイメージというのは色々で、例えば「ムカムカする」とか「イライラする」などの言葉のオノマトペ的なイメージで表現してもらったり、絵画や箱庭などの表現活動で表してもらったりすることなどです。

これらのイメージ表現は、普段私たちが意味を持たせている「言葉」の一つ前の段階の表現です。何か上手く言い表せないけれど、「猛獣に襲われるような」としか言い表せない「恐怖や不安」で周囲からのいじめやストレスを表現したり、なんだか良くわからないけれど、「一人で旅を続けている英雄」を使うことで、心に秘めた「自立への覚悟」や「孤独に耐える力」を表現できるのです。


カウンセラーはクライエントの表現してくれたイメージを見て、そこにクライエントが込めた思いをつかみ取って、共感理解することが求められます。そういう意味でも、自分の気持ちをまだうまく言葉で表現できる力の育っていない子どもたちには、このイメージによる表現はピッタリくることが多いようです。