「人の振り見て、我が振り直せ」と言う言葉があります。
「振り」とは「振り付け」などとも言うように、動作のことですが、人の振る舞いを見て、自分自身を振り返る鏡にせよ、と言う意味でしょう。
言い換えれば、自分の力だけで自分自身を変えていくことは、
大変難しいということでもあります。
自分のことはなかなか自分では気が付かない。
気が付いてもそれが周囲にどう映っているかは、なかなか自分自身では見えないものです。
だから人の姿に自分を見つけて、まざまざと自分自身を振り返ってしまうのです。
カウンセラーなんかをしていると、さまざまな年齢や状況に置かれた人に出会わせていただきますが、実はそのたびに自分自身を振り返ってしまいます。
例えば不適応を起こした小学生や中学生と接していると、
「あぁ、自分の中にも同じような子どもの部分がある。この子どもの部分を今の自分はこの年になっても相変わらず引きずっているんだ」とか。
高校生や大学生と接していると
「今の自分はこれからどうなって行くんだろう。自分が本当にやりたいことは何なんだろう。この年になっても、今後まだ自分は自分の世界を広げていけるんだろうか」とか。
大人の方と接していると
「果たして自分は自分らしく生きているのだろうか。自分の本音を無理して抑え込まずに、自分らしく、しかも周囲と上手くやっていく生き方はないだろうか?」とか。
カウンセラーは人の悩みにお付き合いする職業なんていいながら、結局皆さんのお話を聞かせていただきながら、自分自身を振り返らざるを得ない職業なのです。
結構大変ですよ。
でも考えてみれば、自分(カウンセラー)が変わらずして相手の人(クライエント)だけに代わってもらおうなんてのは、虫の良すぎる考え方かもしれません。
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