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漫画「旦那さんはアスペルガー 奥さんはカサンドラ」

『旦那さんはアスペルガー』シリーズを書かれている漫画家野波ツナさんの実録ドキュメンタリー漫画(?)「旦那さんはアスペルガー奥さんはカサンドラ」。


これまでの『旦那さんはアスペルガー』シリーズでは、主に旦那さんの様子や特性や対応の仕方について描かれていましたが、今回は旦那さんよりも奥さんの(つまり野波ツナさんの)状態についてかかれています。


タイトルにある「カサンドラ症候群」というのは、正式な疾患名ではなく、パートナーが発達障害の場合の家族が陥りやすい状態を指した言葉です。


「カサンドラ」というのはギリシャ神話の中でアポロンに愛され、アポローンの恋人になる代わりに予言能力を授かった女性の名前なのです。


しかし皮肉なことに、カサンドラはその予知能力で

アポローンの愛が冷めて自分を捨て去ってゆくという未来を見ることになってしまいます。


もし皆さんがカサンドラのように未来が見えて、

しかもそれが最悪の結果を引き起こすと知ってしまったら、どうされますか?


当然カサンドラも悩みましたが、結局自分の予知能力を信じ、

アポローンの愛を信じられなくなりました。

そして、彼を拒絶してしまうことになったのです。


ところが、それに怒ったアポローンは、カサンドラに対し

「カッサンドラーの予言を誰も信じないように」という呪いをかけてしまったのです。


そういう話から、「真実を知ってそれを周囲に伝えても信じてもらえない人」の代名詞として使われるているということです。


野波さんの旦那さんのように受動的なASDの方は

対外的には穏やかで温和な人だと思われることがあります。


しかし一緒に暮らす時間が長くなり、実態に気が付くと

「穏やか」というが「人の気持ちを理解できていない」からだということや

「温和だ」ということが「自分の気持ちをうまく表現できない」からだ、

あるいは家事を手伝ったり協力してくれる「やさしさ」が

相手の人のことを思いやってのことではなく、

単に「決められたことはきちんとこなさなければ気が済まない」というこだわりや

秩序重視の性格の結果だったりすることに気が付かされてしまいます。


そしてそういう「美しき誤解」から目が覚めた時に、陥る孤独感や虚しさを

周囲の人に話してもわかってもらえない「孤立無援感」こそ、カサンドラ症候群の主な症状でなのです。


このような状態からツナさんがどうやって抜け出しつつあるのか、そこに至るまでの20年近くにわたる経過を描かれている作品です。


夫婦に限らず、ご家族の皆さん、あるいは身近な関わりを持たれている方々にはとても参考になる作品だと思います。


興味を持たれた方はゼヒ一度本屋で手に取って見られてはいかがでしょうか?

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