なぜ箱庭などのイメージを使った面接が必要なのでしょうか?

私のオフィスでは言葉による面接とともに、箱庭や絵画を使った面接も用意されています。箱庭療法と言うのは、言葉で自分の気持ちを表す代わりに色々な人形を使ってイメージで表現していく方法です。

 

成人の方ならある程度は自分の気持ちを言葉に置き換えることができるのですが、子どもや言葉で自分の気持ちを表すことが苦手な方、あるいは言葉で表すことでかえって辛くなるような体験をされた方には、言葉を使わない方法の方が安全で容易であるかもしれません。

 

人間は何かしら自分の世界を外に表さしたり、他者と交流せずにはいられない存在ですが、その表現のチャンネルは何段階か用意されています。

 

1)知覚・感覚レベル

  例えば、自分の中に何か違和感が芽生えた時、私たちは身体の中に何かもやもやした感覚を覚えます。それが何なのかはわかりませんが、とにかく身体の中に感じるわけです。これがまず最初の感覚・知覚的なチャンネル。

 

2)行動レベル

  それを何とかしたくて、イライラしてみたり、家の中を落ちつかずに歩き回ったり、場合によってはタメ息をついたりして、行動に表します。つまり行動によってそのもやもやを表現したり、処理したりするチャンネルを持っているのです。

 

3)その次がイメージというチャンネル。

  悪夢となって夜中に目を覚ましてしまったり、子どもならお絵かきの中に不安が表現されます。イメージによって、それまで身体の中で芽生えていた感覚が、現実的な形となって表現されるわけです。

 

4)言葉のレベル

  そしてその湧き出たイメージを再び見つめなおして言葉に変えていく、という次の段階につながっていきます。そういう意味でイメージというものは、言葉になる一つ前の段階の表現だと私は思っています。

 

特に子どもたちに「何があったの?」「何で学校に行きたくないの?」と尋ねても「分からない」「なんとなく、いやだ」と言う具合に子ども自身言葉で説明できないことはよくあることです。

 

ですからその言葉にならない思いを、一つ前の段階に戻ってイメージで表現してもらうことが必要になるのです。

 

それが箱庭療法やイメージ療法の必要な理由なのです。