愛着を巡って ~甘えたいけど甘えられない~ ③

≪前回の続き≫

A子は彼女に日常的に関わる人たちからはすこぶる評判が良く好かれていました。しかし私はA子と箱庭している時に彼女の言葉に本当の気持ちを見ました。

 

彼女はこう言いました。

「アンパンマンなんて嫌い。ドラえもんなんて嫌い」

まだ小学校の3~4年生だったことを考えると意外でした。また箱庭に置かれた可愛い顔のお地蔵様をさしてこうも言いました。

「このお地蔵さまはニセモノだ」

アンパンマンもドラえもんもお地蔵様も、言ってみれば子供のピンチを救ってくれる安心感を象徴する存在です。彼女はそれらを信じていないのです。

 

日常の優等生の顔と本心の殺伐とした様子のギャップに驚きましたが、彼女がいわゆるネグレクトを受けた被虐待児であることを考えると納得します。

彼女は常に「人に甘える」ということができなかったのです。

 

「のび太なんて大嫌い。いつも困ったらドラえもんに助けてもらってばかり、自分のことは自分でしなければいけないの」「アンパンマンなんているわけがない」

 

いつも笑顔で控えめで礼儀正しいA子の心の中の淋しさは、どれほどのものだったでしょうか。

<続く>