老賢者と老愚者

<老賢者は今何処に?>
<老賢者は今何処に?>

ユング心理学というのは面白いもので、いろいろなイメージを使って言葉にできない思いを描き出します。たとえば母親のイメージとして、マリア様のようなイメージから山姥のイメージまでさまざまな物語や芸術などで使われた「母親イメージ」を用いると言うわけです。

 

さて、最近のいろいろなニュースを見聞きしていると私の中にかなり違和感のあるイメージがわいてきました。それは(昔からあったのでしょうが)いわゆる老人というか年齢を重ねて世間のすいもあまいも体験して若者たちに知恵と成長をもたらしてくれるであろう年齢の立場の人間が起こすトンデモナイ事件の数々です。

 

たとえば尼崎の事件の主犯である角田美代子被告は64才。

彼女だけではありません、昨年度の新聞発表によると高齢者の起こす殺人事件が大幅増加し、60才台後半の容疑者は一昨年度の1.5倍になったとありました。

今年度の統計が気になるところですが、これをみなさんどう思いますか?

 

私はこれまで老人と言うと「老賢者」というイメージがよく浮かんできました。人生経験が豊富で知恵をもたらしてくれる存在です。しかし以前、故・河合隼雄氏が「老賢者」に対するイメージとして「老愚者」と言うのがある、と書かれていたことを思い出しました。

確かに最近の高齢者の起こすトンデモナイ事件を見ると、世の中に「老愚者」が増加しつつあるのではないか、と思わずにはいられません。

 

高齢化社会が進み、高齢者の人口が増加するにつれ、当然さまざまな人間模様が繰り広げられていかざるを得ないでしょうが、政治家(某石原氏)を含め、一体この国を駄目にしているのは老愚者のせいではないか、なんて悪口を言いたくなる気分です。

 

もっとも私も中年から老年への入り口に至る年齢になってきました。

若い人から、「お前こそ老愚者じゃないか」と言われないように気をつけなければ・・・。