ささえる ことば<12> 「夜明け前が一番暗い」

「夜明け前が一番暗い。」

 

すべての暗闇において、夜明けへと反転する直前こそ、

暗闇の<底>なのである。

 

哀しみや苦しみや葛藤に費やすエネルギーは人をどん底に突き落とそうとする。

その時のエネルギーは容赦なく、またいつ果てるともしれない。

 

しかしこころにはかならず<底>があるものだ、と私は思う。

哀しみや苦しみを生み出すエネルギーがこころの<底>まで至りきった時、

やっと人間の自己治癒力が働き始める。

 

ユングはそういう自己治癒力を「補償作用」と呼んだ。

意識が極端に一面的に偏り、その哀しみや葛藤の否定的なエネルギーが

こころの底まで至りきった時、

常に必ず、前向きなエネルギーの逆流現象が起きるのだ、と。

 

次に続くのは、夜明けの輝きなのだ。

「あともう少しの辛抱だ」などと簡単には言えないが、

しかし、朝の来ない夜はない。