アダルトチルドレンという言葉が日本でよく知られるようになったきっかけは「私は親のようにならない」(クラウディア・ブラック著)という本が翻訳されたころからではないでしょうか。この本の副題に「アルコホリックの子供たち」とあるように、当時の理解はアルコール依存症という病気を抱えた親の元で育った子供たちの事を指していました。
しかし現在では、アルコール依存に限らず様々な心身の病気やパーソナリティ、その他の問題を抱えた親の元で安全な生育環境を提供されずに子供時代を育ち、それがさまざまな影響を及ぼし大人になっても生きづらさを抱えている人たちのことをさすようになりました。そして今、あらためて自分の子供時代と向き合い、その影響から抜け出し自分の人生を自分の手に取り戻したいという方々が増えているのです。
「アダルトチルドレン」とはいわゆる病気・精神疾患でありません。あくまでも子供時代の影響を引きずり生きづらい思いを抱えているこころの状態です。しかしそういう混乱した子供時代を過ごして来た方々にはある程度の共通する傾向があると言われています。何人もの人が色々なタイプ分けをされていますが代表的なものをあげてみます。
秩序の混乱した家庭に育ったり、親の機嫌を損ねないためにも、いわゆる「頑張り屋さん」として一家の誇り秩序を背負うことがあります。家族の期待とプラスの注目を集めます。
混乱する親をなだめ、親の代わりに兄弟の世話や家事を引き受けます。親の愚痴を聞くカウンセラーとなることもありますが、自らの本音を出すことはありません。結果的に親は子供に依存し、イネイブラー(支え役)になりかねません。
家族関係の破たんや愛情の不足を補うため、問題行動を起こしたり、怒りや反抗の形でマイナスの注目を集める「問題児」の役割を演じるます。自らをいけにえにする犠牲者です。
家庭の暗い雰囲気を回避するために、自らおどけひょうきんで明るいふるまいをします。常に人の表情を伺い、内心は家庭が険悪なムードにならないようびくびくしています。
家庭の混乱と無秩序に対し、自らの感情を抑圧することで順応していきます。一見素直で従順ですが、それは家庭に波風を立たせないよう、自らを防衛する仮面です。
以上のような傾向は大人になられてからも色々な場面で尾を引いていしまい、周囲との人間関係やご自身との配偶者との間でもその対人関係のパターンが再現されてしまうことも有ります。そしてそれが様々な問題や悩み・生きづらさを生み出してしまいかねません。そこで次はその解決の道筋を簡単に見ていきたいと思います。
今まで見てきたようにアダルトチルドレンとは、子供時代に安全で愛情に満ちた生育環境を生きてこなかったために、その影響が大人になっても尾を引いている状態です。
そこでその回復には、
1)まず自分自身の対人パターンを自覚する
2)それが子供時代の親子関係・家庭環境の影響であることを自覚する
しかし成人となった今、その影響から抜け出す必要と覚悟を決め、
3)自分の本当の感情・意見・欲求等を自覚し言動に移し、自分の人生を
自分の手に取り戻す
という過程を踏むことが必要になります。
口で言うのは簡単ですが、子供時代の影響は心身に染みついているものです。これまで生きてきた足元を見直し、場合によっては新しい足場を気づき上げる作業となるので、生き方をめぐる大変な作業です。そしてその影響は無意識な言動のパターンとなっているため、自分自身だけの内省では限界があるかもしれません。
場合によってはご自分の原家族の秘密や思い出したくない、場合によっては記憶から消されていた出来事を見つめなおさなければならないでしょう。しかし親との関係を見直し、現実的で新たな親との「大人の関係」を築づきあげるためには、罪悪感と渦巻く怒りの嵐の中をさまよう時期も当然あると覚悟してください。
そこを潜り抜けて「親に振り回されてきた子供時代の自分」と「今大人になった自分」との間に境界線を引き、「大人の自分」の視点から「振り回されてきた子供の自分」を認め、受け入れ、そして「新たな自分の中の健全な子供らしさ(インナーチャイルド)」を育てていくことができるのです。
そういう嵐の中を潜り抜ける旅の途中に、客観的で冷静な立場の人に道案内をしてもらうことは決して恥ずべきことではありません。どうぞ信頼できる相談者・カウンセラーを道案内として、嵐の中を抜け出す歩みを始めてほしいとこころから願っています。
もちろんオフィス岸井はあなたと共に歩きながら道案内をさせていただく準備ができています。
ご自分の問題に取り組む覚悟が固まり、もし必要があればいつでもご連絡いただきたいと思います。
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